東京藝術大学卒 日本画家 澁澤卿の軌跡

Diary 2009年10月

2006年秋に企画されスタートしました全国三越巡回展が今年4月のホテル催事から始まって本支店8箇所の巡回を終えて10月6日最後の札幌店を最後に無事に終了いたしました。企画がスタートした後に北京中国美術館で個展を開催しないかと中国政府より誘いがあり2009年3月に開催を決めて三越での出品作品を含めた大個展をスタートに三越巡回展を展開することになりました。ところが2007年正月に多発性骨髄腫と告知され厳しい移植治療が始まってしまいました。ベッドの上の生活が9ヶ月続き退院後体調が元に戻るまで半年近く掛かってしまい制作が大きく遅れてしまいました。治療中は何度も諦めかけた個展でしたが中国政府からは退院したらすぐに北京に来て友誼館に於いて個展を開催してくれれば政府より賞をだすのでがんばれと励まされ、三越の美術部、銀座永善堂画廊の皆さんからも一度も企画の中止の話はなくどんどんと準備が進んで私の気が弱くなる時を与えてくれませんでした。中国美術館の個展は制作時間の問題で諦めましたが友誼館に於いては100名を越えるファンの皆様に北京に同行していただき政府より人民大会堂に於いての歓迎式典と中国より伝来した水墨の世界を日本に於いて新しい発展をさせたということで和平発展貢献賞を授与していただきました。今向かい合っている作品が絶筆になるかもしれないという状態での制作が私を大きく変えました。画けることの喜びと作品を愛おしく思える心ともっと巧くなって心に描いた絵を画面に完全に写しきりたいと制作した作品群により作品のサイズは予定より一回り小さくなってしまいましたが日本橋三越本店の特設画廊の壁を埋めてこの春巡回展はスタートいたしました。ホテルニューオータニ・日本橋本店・名古屋・仙台・福岡・高松・松山・新潟・札幌各支店で店長をはじめ美術部の皆様の歓迎とご協力を賜りテレビ局・新聞社の応援もあってどの会場も盛況のうちに一つ一つ幕を閉じてまいりました。100年に一度といわれた不況の中でしたが沢山の方々の応援を頂き三越の目標のボーダーラインも超えられたようです。この3年間は私にとって忘れられない長い3年でした。60歳になった今襟を正す良いきっかけを作ってくれた骨髄腫とは完治できる特効薬が出来るまで仲良く付き合っていかなければなりませんが仏様がもう良いから来いといわれるまで精一杯絵を描いて生きていくつもりです。これからも皆様の御支援ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。