東京藝術大学卒 日本画家 澁澤卿の軌跡

Diary 2011年05月04日

外に出ると暑い日ざしが射し、初夏を思わせる季節が突然やってきました。アトリエは昼間の日差しが差し込まないように建てられている関係上まだ肌寒く私は相変わらず冬物の作務衣を着て仕事をしています。一日アトリエに籠もって、ほとんど動かない私は暑さを感じることもなくまた、季節を先取りする必要もなく無精ひげを生やしたまま妻が洗濯してくれた仕事着のセットを繰り返し着ているのです。ようするに2セットあれば足りるわけです。箪笥から溢れるほど作務衣はあるのにいつも同じものを着ているようでおかしいと妻に注意されているのですが着ている本人が気にしないのですから良いのです。私の仕事着はそれで良いのですがアトリエの外装と屋根が痛んでしまいほっておくわけにはいかず連休明けから改装が始まります。仕事には差しさわりがありませんので忙しい折ですが梅雨の前に終えるように始めてもらいます。92年に建て増しと内装の改装をしましたがすでに建ててから30年が経っています。物置のような安普請のアトリエですから立て直すことも考えたのですが私の歴史が染み込んだ空間に身を置くと居心地が良くて仕事もはかどります。ですから今回も外装の補強と内部木部のペンキの塗り替えで済ますことにしました。

毎日のように展覧会の案内状が届きます。大震災の影響もあって美術品の販売は芳しくないようですが作家たちは精一杯のエネルギーを使って制作した作品群を発表しています。心の癒しのため皆様も興味のある作家の展覧会にお出掛けください。私も99年に芸大の後輩たちと結成した一画会のメンバーだった榎俊幸君と片桐聖子さんの個展に出かけ、久し振りに会のメンバーや美術界やデザイン界で活躍する後輩たちと杯を交し、語り合いました。皆が、がんばっている姿を見ると嬉しくなります。私の歩んできた時代と違い今は作家たちが生活していくのが大変な時代で可愛そうですが皆負けずにがんばっています。若い作家への応援もよろしくお願いいたします。来週9日から14日まで日本橋のオンワードギャラリーで一画会のメンバーだった堀川理万子さんの個展があります。お出掛けください。今日は鎌倉のギャラリーで開催しています小杉小二郎先生の個展を家から歩いて観にいきました。リュックを背負った老夫婦や若者のグループで駅までは行列のようでした。自粛ムードも春の日差しが吹き飛ばし鎌倉の町に活気が戻ってきたようです。日本人は強いですね。

私の広島の福山天満屋での個展も近づいてきています。お近くの方はぜひ新作を観に来てください。