東京藝術大学卒 日本画家 澁澤卿の軌跡

Diary 2005年04月

鎌倉の桜もちらほらと咲き始めました。3月23日より名古屋松坂屋において画業30周年記念の個展は、日蓮宗管長身延山久遠寺法主藤井日光猊下をはじめとして全国から送られてきたたくさんのお花に飾られて始まりました。岩手から東京・京都・大阪・福岡からと遠路にもかかわらず御来廊賜わるなどで、賑わう名古屋万博に負けずに会場は一杯の人で埋まり大変盛況のうちに私の数ヶ月の努力の結晶を陳列した会場はあっという間に閉廊されてしまいました。全国の皆様に観ていただきたい自信作も多く含まれていた展覧会だったので少々心残りです。うまく描けた作品は自分の元に取っておきたいとは思いませんかと多く聞かれますが、今日は昨日よりもっと良い作品が描けるそう思って白い画面に挑んでいますので手元において眺めていたいとは思いません。もちろん昨日描き上げた作品は昨日の私の精一杯の仕事ですので今日同じものは描くことが出来ません。昨日の仕事はもう二度と訪れることのない澁澤卿の昨日生きた証なのです。過去の作品を観るとき私は自分の制作した時の日記を読むような気持ちになります。展覧会の会期中に穴の開くほど眺めて自分の昨日に別れを告げます。昨日の自分はきっとその絵を飾ってくださる人に可愛がっていただけると信じて。一休みしてまたアトリエに篭っての制作に入ります。もっと良い絵が描きたい。これが作家のいくつになっても失ってはいけないハングリー精神だと思っています。