東京藝術大学卒 日本画家 澁澤卿の軌跡

Diary 2005年2月

一月はなんと早く終わってしまうのでしょう。3月の名古屋松坂屋本店での個展が近づいて来ています。

一作の制作に時間が掛かってしまいまして大幅に遅れた状態です。画業30年50回を数える個展を経験しているにもかかわらずいつもいつも時間が足らずに個展に突入するという学習能力に欠けた自分に呆れています。30代のころ東京芸大の教官室で机を並べていた有元利夫氏は個展の開催日の4ヶ月前には全ての作品を完成させていて準備万端個展の初日を迎えていました。彼は、個展が近づくたびに時間がない時間がないと騒いでいた私に「毎回よくそんなスリルを味わっていて胃を壊さないね。君の神経の図太さには脱帽だね。」とよく言っていました。皮肉にもそんな彼のほうが早くに体を壊して逝ってしまいました。確かに私の他の作家より優れた才能といえばこの図太い神経と同時に持ち合わせた体力だけかもしれません。今回も画商さんやデパートの美術部で私の個展担当の方の中で神経の細い方は胃など壊さないでいてくれることを祈ります。話は明るい話に変わりますがカレンダーに同封しました「年末のごあいさつ」の文中で表紙の絵に触れたせいか大変多くの方より切り取って額装しましたというお葉書や手紙をいただきました。作家にとって嬉しいお便りをありがとうございました。文中にも記しましたがぜひ名古屋まで原画を観にきてください。皆様のご声援を励みに展覧会までのあと 50日がんばって制作に励みます。