東京藝術大学卒 日本画家 澁澤卿の軌跡

Diary 2009年09月

9月に入り急速に秋の気配が感じられます。庭のつくつくぼうしの蝉の声が日の沈むのと同時に色とりどりの虫の声にと変わります。今年の夏はあまり暑さを感じなかったのはわたしだけでしょうか。8月は高松三越と松山三越に於いて個展が開催されました。どちらも大変沢山の来場者で盛況のうちに終えることが出来ました。どちらも新聞・テレビが各社取り上げていただきまして各地域で新しく澁澤卿作品のファンになって頂いた方が増えました。この100年に一度といわれている不況の中お陰様で三越のこの個展の目標予算もクリアーすることが出来たようです。今回の三越での巡回展は私にとって忘れられない展覧会になりました。いままで突き進んできた道が間違えていなかったことが確信できたことです。多くの作家たちが現代にあった表面的な造形にこだわる中で私は日本人の多くの人がそう感じているだろう原風景を日本人の心で日本人の色で四角い画面に日本の空気を流してそこにある現実の風景より美しく表現したいと制作をしてきました。一時は時代に取り残されているのではと不安になったこともありましたでも今は絵には時代は要らないと思えるようになりました。人は決して何百年も生きていられないからです。少し前までは50年、今でも80年が人生です。そして次の世代もまた生まれて死ぬまで同じような時を刻むのです。その時を生きるのですから時代に影響は受けます。しかし心の成長はどの時代に生きていてもそう代わりはないのではないでしょうか。だから音楽や絵良い作品は何時までも歴史の中を潜り抜けて現代に受け継がれてきているのだと思います。絵の中に必要なものは作家が俳句の5・7・5の言葉のように表現したいと思った自分の心を端的に纏め上げ精一杯の技術を持ってしてそれを表現する。それが絵というものではないでしょうか。人の心を操るがごとく情報が炸裂している現代だからこそ自分探しのヒントが詰まっている絵や音楽がますます必要な時代がやってきているのではないでしょうか。展覧会中私の絵の前で長々とおしゃべりをしてくれる人、旅でここに訪れて・・・この季節には行ったことがないけど・・・お母様と最後に行ったとこ・・・そんな会話でざわめいている私の展覧会場が私は好きです。

新潟三越も終えさいごに札幌三越の巡回を残すのみとなりました。私は10月3・4日に会場に出向き4日2時よりギャラリートークがありますのでお近くの方はお出掛けください。